「情報システムを,その境界で防衛するという発想はもう通用しない。新しいセキュリティ・モデルが必要だ」――。内閣官房で情報セキュリティ補佐官を務める山口英・奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授は,東京ビッグサイトで開催中の「エンタープライズ・リスク・マネジメント 2008」の講演で,セキュリティ管理のトレンドをこう分析した(写真1)。 山口氏は「事業継続管理と情報セキュリティ―危機管理からのアプローチ」と題した講演で,マッシュ・アップやクラウド・コンピューティングといった最近の情報システムの傾向を踏まえて,「求められるセキュリティ管理の方向性も変わっていく」と展望した。 「情報システムは,すでに事業を継続する上で無くてはならないプラットフォームになっている。経済性の追求,新たな価値の創造を続けるために,企業間の商取引ではシステム間連携を行うようになってきた。だが,そこに新しいセキュリ