2020年12月から2021年1月にかけて約3週間続いた日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場の価格高騰の問題を深堀りするために、市場の公平性と透明性、そして信頼性の観点から、特に市場支配力とインサイダー情報に焦点を当て議論します。 今般の電力市場価格高騰問題は、結果として、市場価格の高騰により電力の市場調達を行なっていた一部の(多くの)小売事業者が損益を出す、もしくは電力消費者が高い電力料金を負担しなければならなくなったために注目を集めていますが、この点だけに注視すると問題の本質を見誤る可能性があります。そもそも、なぜ市場価格の高騰が長期間継続したのか、根本原因について分析的に整理し、俯瞰的に眺め、その発生要因とその影響を整理しなければなりません。 この問題の発生要因とその影響を見るためには、以下の3つに分けて考える必要があります。 ① 1次事象:発電事業者 1. 売り入札量の急激な減