(目次に戻る)(初めてこのblogに来られた方は、まず目次をご覧ください。) (前のページに戻る) * 激しくネタバレしています。ご注意願います。「風の歌を聴け」「ノルウェイの森」へのネタバレ言及があります。 それでは、「羊をめぐる冒険」の書評を始めます。 1.「先生」とは誰か? 鼠の父親です。しかし、鼠の父親は家庭用洗剤の会社の社長(「風の歌を聴け」)であって、右翼の大物ではないはずです。だから、「先生」は象徴的な意味での鼠の「父親」です。 と、初め思っていたのですが、この小説を読み返すと物語的には本当に「先生」が鼠の父親であってもおかしくないかな、と思いました。根拠は以下のとおりです。 ① そもそも先生は正体不明の人物です。インタビューも写真撮影も一切許可されていません。ですから、表で会社の社長をやっていて、裏で右翼の大物であってもおかしくありません。 ② 「先生」は十二滝町の
山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)/メディアファクトリー ¥1,554 Amazon.co.jp 山白朝子『死者のための音楽』(メディアファクトリー)を読みました。ぼくが読んだのは単行本ですが、現在は文庫本も出ています。 5夜連続、中田永一+山白朝子特集、今回からは山白朝子の紹介です。出版社勤務を経てフリーライターになり、怪談専門誌『幽』で連載スタート、それをまとめたのがこの本ということになっています。 ただ、新人文学賞を取らずにいきなり連載が始まるのは稀であり、作者の情報がそれ以上明かされない覆面作家なことから、もしかしたら現役の作家が隠れて書いているのではないかと話題になりました。 そして実際にある作家の別名義であったことが、今はもう明らかになっています。「誰だろう?」と思う方はぜひ検索してみてください。 山白朝子の小説は、現代的なホラーというよりは少し昔の日本を思わせる
第9416回は、「中下咽頭癌 入院58日目、3時起床、着替えはせずにパソコンの前に」 です。 午前3時目が覚め、3時半ごろ、看護師を通じで家族を起こしてもらいます。息が上っています。ふたりに、ラウンジに込んでもらいました。至福の時です。パソコンの前にいることは、時間を忘れ、安らぎの時を迎えれるから。冷たいお茶が喉を潤します・・・・。 今朝がたの予定は、ブログを書けるだけ書いて、6時過ぎには簡単な清拭をする予定です。その時、裸体重も計測する予定です。一昨日は40キロ割れの39.2キロまで下がっていました。ところで、今晩は多数の取り留めのない夢を見ました。戦時下の軍事国家で、女性担当官が夢の取締を行っていたのです。 私の夢も統制に引っかかります、近隣の住民が必死になってかばってくれるのですが、私はあきらめきっっています・・・・。「夢日記」にも書いていますが、夢について無理に書こうとする捜索にな
私的評価:★★★☆☆ 精神科医の榊は、患者への対応の不手際を指摘され、前病院を退職。 新しく勤めた病院は、大変良心的な医療を行っているところだった。 新しい患者の中に、亜左美という仮名の入院患者がいた。 前担当医は、不自然な状況で事故死している。 亜左美を担当するうちに、前担当医の診断、「精神分裂病」に疑問を抱くようになる榊。 「境界性人格障害」ではないかと思いつつ、苦い記憶がよみがえり対応に悩む。 ・・・以前の病院で、「境界性人格障害」の患者への対応がうまくいかず、患者は自殺、妻とは離婚となった過去があるのだ。 榊の物語とは別に、首都国立博物館に勤めている女性の物語も進行する。 そして2つの物語が、一点で結ばれる。その先には・・・・? 印象的だったエピソードを2つ。 「ガリヴァー旅行記」の話。 第三篇の「ラピュータ渡航記」の記述に、違和感を感じる榊。 「・・・これは、まるで分裂病患者では
第5561回は、「ZOO 乙一著 第1話、カザリとヨーコ ストーリー、ネタバレ」です。文庫化にあたり、2分冊となっています。「ZOO1」には、映像化(オムニバス)作品5編が収録されています。第1話は、幼児虐待がテーマであり、モチーフです。 「第1話 カザリとヨーコ」 小学生のカザリとヨーコは、一卵性双生児です。しかし、シングルマザーの母親からは、カザリは偏愛され、ヨーコは虐待されていました。風呂にも入れてもらえないヨーコは衣類が臭っています・・・・。もちろん、食事も家族の残飯です。 そんな家庭に育っていても、ヨーコは妹のカザリが好きでした。ある日、汚れた服を着て公園で遊んでいたヨーコは、尋ね犬の張り紙を目にします。その犬を先ほど見かけたのです。それがヨーコの悲しい運命を変えることになります・・・・。 ヨーコは、スズキさんというおばあさんに、犬の"アソ"を届けます。「まあ、あがって。食事でも
関口巽は妻帯者である。三十歳を超えた壮年である。そんな関口巽が、十年前の恋を思い返す物語である。 いや、この物語は何重にも伏線が張りめぐらされ、胎児連続殺人事件や、二年間出産しない妊婦や、狐憑きの家系などが語られる。しかし、その中で、もっともわたしの心を打ったのは、物語の主軸のひとつである間抜けな間抜けな関口くんの恋愛である。 間抜けな関口くんは当時、二十歳だった。まだ若い。そんな時、関口くんの友人が恋をする。久遠寺梗子という名家の娘に恋をしたのである。奥手な友人は、梗子への恋文を関口くんに代筆してもらうことを頼む。関口くんはそれを引き受け、自分で恋文を書く。 さらに、友人は、その恋文を想い人である梗子に届けてもらうことを頼む。関口くんは引き受ける。 ここで重要なのは、想い人久遠寺梗子には姉がいるということである。その名を涼子という。 関口くんはせっかく一生懸命書いた恋文を届ける相手をまち
最終巻の4巻が11月15日発売の八十八良先生の「ウワガキ」感想です 少し早いのですが今年終わったマンガで一番面白かった作品 去年が最高のハッピーエンド「おたくの娘さん11巻感想」でした 有名でないマンガを発掘できる喜びってのは何事にも変え難いです 知らない人も多いので最初から、あらすじを追いながら感想ですね 諦めろアジオ こんな感じで物語はスタートします この子がヒロインの照井千秋でアジオってのが主人公で冴えない高校生安治川良男 恋愛マンガではよくある?最悪からのスタートなんだけど 彼氏として考えられないだけで人間としては嫌われてるわけじゃないみたい 千秋には既に彼氏がいるってことも原因の一つだったりして それが・・・・ うわぁあああああああ!!! ある教師のせいで千秋が2人になってしまい アジオを含め「人間の恋愛感情について」っていう研究の対象にされてしまいます どんな研究かってのが、こ
一部でものすごく評価の高かったメンタルホラー。 一巻を読んだ段階では、好みの問題はあるだろうけれど、誰が読んでも傑作と呼ぶしかない代物ができあがるのではないかと思った。 それくらい、そこで描かれる情景には読者を掴んではなさない力があった。 雪国という設定。 黒こげになった死体。 狂った目をしたクラスメイト。 そして美少女。 なにもかもが鮮烈な印象。 ただ3巻まで読んだ結論を言っちゃうと、傑作は傑作なんだろうけど、これは「読める」人が限られる傑作になっちゃったなという感じ。 これを評価する人の気持ちもわからないでもないが、個人的には1巻を読んだときの衝撃は最終巻に至るまでに徐々に縮んでいったように思う。 その理由は、2巻以降、このマンガが「メンタル」の物語から、完全にスプラッターホラーへとギアを入れ替えたからで。 中学生達が殺し合うスプラッター活劇が、僕にはバトルロワイヤルに見えて仕方がなく
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