遡る事三十年ほど前、今でこそボーリング玉の様な腹をしている私であるが、当時は玉の様にかわゆい幼児であった。 その後のクレイジーな人生を思うと誠に意外な事実であるが、私にもそういう時期が確かにあった。 で、当時平仮名を読む事を覚えた伊亮少年は絵本を読む事にハマった。 家にいる時間は、テレビも見ずにずーっと絵本を読んでいた。 大人からもらう誕生日やクリスマスのプレゼントは全て絵本をリクエストし、『お母さんが代わりに貯めておく』の儀式が終わった後に僅かに残るお年玉も全て絵本に変わる。 大人とはえらいもんで、伊亮少年が〝ミニカー〟にハマった時には何故かあまり買ってはくれなかったのに、絵本はすぐに買ってくれる。 みるみるうちに本棚はいっぱいになっていったのだが、この時私は、自分の読書の癖に気づく。 『さるかに合戦』ばっかり読む。 理由は単純明解で、牛のうんこが猿に向かっていくのが面白くて仕方なかった