本書はジャン=ジャック・ルソーの古典である社会契約論、特にそこで提示される一般意志の概念を、現代の情報技術環境において実装可能なものとして読み直すこと、またその結果提案される一般意志と共に現代のメディアや民主主義の可能性について論じた本である。 文庫版の巻末には、本文中でも引用されている『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波書店、2010年)の著者である政治学者の宇野重規氏との対談が掲載されている。 『存在論的、郵便的』を発表して以降、東浩紀は日本の学者的な現代思想とは距離を取りつつ、『動物化するポストモダン』などを発表し、いずれデリダ論を更新することを予告しつつ、文芸誌に寄稿したりテレビに出演したり若手批評家を育成することに、10年近く活動の力点をおいていた。 その間にweb世界ではニコニコ動画やTwitterを使って、東はデリダの起源であるジャン=ジャック・ルソーの一般意志を、新しいメディ