國分功一郎『暇と退屈の倫理学』の続編として予定される「欲望と快楽の倫理学」の序章、まずは「快楽」について。その講義メモ。 パーティーを楽しめないハイデガー 『暇と退屈の倫理学』には、3つの結論があった。 1つ目は、この本を通読すること。著者とプロセスの体験を共有することによって、すでに読者はこの倫理学の只中にいる。2つ目は、人間であることを楽しむこと。贅沢を取り戻すこと。これは消費を強いられるのではなく、浪費による満足を目指せということだった。3つ目は、動物になること。とりさらわれること。人間は自らの能力の高さによって自分の環世界で退屈してしまうが、動物は退屈しないという意味である。 「快楽」について考える場合、とりわけ2つ目の結論が重要になる。ではこの「人間であることを楽しむこと」の「楽しむ」という状態は、どのようにして可能だろうか。 『暇と退屈の倫理学』の本文には、ハイデガーの引用に基