わたしの青春は全部田中摩美々だった。16歳だったわたしにとって摩美々の髪のむらさき色はそれまでの高校生活が色褪せるくらい鮮烈で、そこから大学を卒業するまで摩美々はわたしの生活の中心であり続けた。 茶髪にも染めるつもりがなかった髪を、高校卒業と同時にブリーチしてむらさきに染めた。決して摩美々そのものになりたいわけじゃなかったけど、摩美々は摩美々の好きな要素を追求してあの摩美々になったのだと思って、摩美々にわたしを覚えてもらいたくて、摩美々の好きそうなおしゃれをたくさんした。 googleフォトが突然通知をよこしておすすめしてきた8年前の写真のスライドショーには、怖いものなんてなんにもなさそうな顔でNADIAの短いスカートとYOSUKEの厚底ブーツで武装して、どこもかしこもアシンメトリーな衣装を着た摩美々とツーショットを撮る大学時代のわたしがいた。アイシャドウもネイルも似合うとか似合わないとか