奇妙な夢を見ていた。昔住んでいた子供部屋の窓から、降りしきる雨を見ている夢だった。 雨は随分前から降り続けている。外を見下げるとアスファルトに薄い雨の膜が出来あがっていて、濁った水が側溝の格子から際限なく運び去られていく。それでも雨の勢いが勝って、道路の上に出来た真っ黒な川は少しずつ分厚くなっているように見えた。 窓の外から目をそらすと、うす暗い部屋に古びた学習机が目に入った。小学生に上がった時に買ってもらったものだ。天板の上に貼られたビックリマンのお助け天使のシールが、灰色の光にひどく退色して見える。 この雨が止むことはないだろう、と何故かはわからないが、私は思い込んでいる。やがて黒い水が、軒下に達して、1階の玄関ドアからゆっくりと浸していき、リビングの絨毯を覆ったかと思うと、テレビ台に上がり、写真や土産物がおかれた棚の一つ一つを念入りに握りつぶしていくのだ。 それでも、おおよそ心の動き