姉のマリー・アントワネットと夫のルイ16世を訪ねたケルン選帝侯マクシミリアン・フランツ(左) 新しい主君はマリー・アントワネットの弟 ベートーヴェンが12歳(触れ込みは11歳)のとき、1783年に『選帝侯ソナタ』を作曲、献呈したケルン選帝侯マキシミリアン・フリードリヒ大司教は、その翌年、1784年に逝去します。 ケルン大司教は聖職者ですから世襲ではなく、後任は形式的にはローマ教皇によって選ばれます。 中世にはこのような領主、君主でもある聖職者の叙任権をめぐって教皇と皇帝が争い、「カノッサの屈辱」などの事件で有名ですが、この時代には実質は皇帝とドイツ有力領邦君主たちの合議で決まっていたと考えられます。 そんなわけで、この度の後任は現皇帝家であるハプスブルク家から選ばれました。 前皇帝フランツ1世と、オーストリア女帝(正式には皇后・女大公)マリア・テレジアの末息子(第16子)にして、現皇帝ヨー