ハプスブルク家の紋章 ナポレオンへの道のり 2020年にベートーヴェンの生誕250周年を迎えてから、2年間ほど、彼の若い頃の生涯を追い、青春時代の熱い音楽に耳を傾けてきました。 いったんの区切りは、ナポレオンに捧げるべく作曲された交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55《エロイカ(英雄)》。 作曲された年は1804年。 この曲は、まさに〝音楽の革命〟でした。 ちょうど時代は18世紀から19世紀に移ったところでしたが、ヨーロッパ社会も、フランス革命の波及によって、貴族が主役の時代から、現代につながる、市民が主役の時代に移りつつありました。 芸術も社会の動き、時代の流れと密接に関わっていますので、この曲は、まさに画期的な作品だったのです。 そして、この曲が捧げられるはずだったナポレオンは、フランス革命の混乱を収め、その理念をヨーロッパ全体、そして世界に広げた英雄です。 その意味でも、このシンフォニ