今年の振り返りは、この話題から始めるしかないだろう。 宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が公開された。『風立ちぬ』から10年ぶり。記者会見を開いて引退宣言まで行い、スタジオジブリも制作部門もいったん解散となった。それを覆しての新作長編だ。事前に公開されたのは、イメージビジュアル1点のみ。内容を明かさないどころか予告編すら作らず、宣伝を一切しないという姿勢が貫かれた。それがかえって注目を集めたというのもあるだろう。蓋を開ければ、12月までに86億円の興行収入をあげ、現在も公開中。自伝的な要素を盛り込み、思うに任せたかのような展開も話題になった。80歳を超えてなお続く創作への情熱は驚異と言えよう。 スタジオジブリが日本テレビに売却されたのも広く報じられた。日本有数のヒットメーカーだけに、創業メンバーが高齢化する中、その行く末はかねてから関心を集めていた。日本テレビは『魔女の宅急便』以来(さら