ヤン・ファン・ホイエン《冬の川景色》 フェルメールと17世紀オランダ絵画展にて。 絵画ではなく、その説明文が印象に残った。この絵はある人が(その価値に気づかず)ずっと風呂の蓋として用いていたものらしい。もともとが板に描かれたものだから、その用途に適していたのだろう。その資産価値に気づいた所有者の感動はいかばかりか。 それにしても「価値」という概念もあやふやなものだ。絵はまったく変容していないのに、あっという間に扱い方が変わる。畢竟、そのモノではなく、周囲の認識が変化するというだけのことだ。 「水戸黄門」にしても、印籠を出す前と出した後で、ご老公そのものは変わらない。変わったのは周囲の眼である。認識である。 よく「あんな人だと思わなかった、裏切られた、幻滅」と知人なり著名人なりの一面を知って怒りを募らせる人がいるが、大抵の場合相手は変わっていない。もともとそういう人だったのを見落としていて、