記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。 注意『すずめの戸締り』をすでに鑑賞した方、「ネタバレ」を気にせず鑑賞ができる方に向けて本稿を執筆しています。 プロット上の「ネタバレ」を気にされる方はぜひとも観賞後に一読いただけますと幸いです。 前書き―「感動」の暴力性大仰なタイトルをつけたが、そもそも本稿に着手しようと考えたのは私の鑑賞体験によるものであった。作中、まさに「鈴芽」が東日本大震災の被災地で「戸締り」を行うシーンで、帰ってくることがなかった多くの方々が「おはよう」「いってきます」「いってらっしゃい」と言葉を残し去っていくその複数の記憶が象徴的に回想され、その後、「閉じ師」の「草太」が、「ミミズ」に対して、「——命がかりそめだと知っています、死が常に隣にあると分かっています。それでも私たちは願ってしまう。いま一年、い