※この記事は、もともとのものを、同人誌「俗物ウィキペディア」用に推敲したテクストになります。 伊集院光とNHKアナウンサーの安倍みちこが司会を務める『100分de名著』という番組で、大江健三郎の『燃え上がる緑の木(1993-1995)』が取り上げられた。大江健三郎にハマり始め時に読んではみたものの理解できなかった作品であったが、せっかくだからと、この放送に合わせて、番組の解説を聞きながら、一カ月かけてゆっくりと再読してみたら、とてつもなく面白い小説だったということに気付かされる良い読書体験を得ることが出来た。 大江健三郎の小説は、デビューした頃などの初期に分類される作品はソリッドで濃密な文体で、今読んでもとてもカッコいいのだが、後期は特に、伊集院が「大江先生の本は何かとこう話題になるたびに手には取るんですけど、難しいって挫折してきて、唯一ね『「自分の木の下」で』っていう本だけは割と分かりや