昨年、NHK BS4KおよびBSプレミアムで放送された「天使の耳 交通警察の夜」(前後編)が、NHK総合の「ドラマ10」で全4回に再構成されて放送された。原作は東野圭吾の『天使の耳』(講談社文庫)。6編が収録された短編集で、1989年から91年にかけて雑誌に掲載されたものだ。うわあ、もう30年以上も前の小説なのか。 原作はいずれも交通事故をモチーフに、交通課の警察官たちが事故の裏側に迫っていく様子を描いている。東野圭吾らしいどんでん返しが仕掛けられたトリッキーな作品集であるとともに、当時の交通法規制の問題点を炙り出す社会派な物語でもあった。 原作に収録されているのは、交差点で起きた衝突事故で信号はどちらが青だったのかを盲目の少女が立証する「天使の耳」。走行中のトラックがいきなりハンドルを切って中央分離帯を乗り越えた理由を探る「分離帯」。初心者マークをつけた車が後続車に煽られて事故を起こして