夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓」の法制化をめぐっては賛否両論があるが、約20年前にどちらも姓を変えないために事実婚を選んだ夫婦がいる。長女のモモさん(大学2年・仮名)は母の姓、次女のミナさん(高校1年・仮名)は父の姓だ。「夫婦別姓」の家庭で育ったことを子どもはどう受け止めているのか、本音を聞いた。(文・黒澤真紀、写真・本人提供) 「姉妹なのになんで名字が違うの?」 小学校時代のある日、妹・ミナさんが姉・モモさんの教室に用事があってきた。恥ずかしがり屋のミナさんの代わりに友達が言った。「○○さん(ミナさんの姓)のお姉ちゃん、いますか?」。「○○? うちのクラスにはいないよ」とクラスがざわつく。 姉妹なのに苗字が違う理由を、当時のモモさんは知らなかった。周囲に何か思われるのではないかと、ボランティアや保護者会に父が来ることも複雑な思いになり、「学校へはなるべくお母さんが来てほしい」