2019年3月、音楽グループ・電気グルーヴのメンバーで俳優でもあるピエール瀧(敬称略。以下同様)が麻薬取締法違反容疑で逮捕された。同年4月に起訴され、その後保釈が認められたが、所属事務所であるソニー・ミュージックアーティスツとのマネジメント契約を解除されたほか、ライブ活動の中止、出演番組の打ち切りや代役への差し替え、過去出演作の回収や販売停止など、関連業界に多大な影響が出た。 ここまでは、近年さほど珍しくない流れだ。しかしその後の展開はこれまでと少しちがっていた。この問題については既に多くの論考が出されているが、少し時間もたったので、ここでは一歩引いたより大きな視点から考えてみたい。 毎度長い長いといわれるので、要旨を先に書いておく。 要旨: ◆ピエール瀧の逮捕に伴う作品回収や配信停止に対して噴出した反対論は、当該問題だけではなく、近年さまざまなところで目立つ、頭ごなしに上から目線でルール