ニワトリのような動きをする挙動不審な自称リーダーは、仕事が早く終了すると「今日の作業時間は〇時間〇分〇秒だから」と何かに憑依にされたように、誰彼構わずしゃべりかけていた。 当時の私は高校時代に覚えた麻雀を趣味とする昭和の香りただよう大学生であった。近代麻雀を愛読書とし、学友と朝まで麻雀談議を繰り広げるなど、親のため息が聞こえてくるような生活を送っていた。 ある日そんな私にハプニングが訪れる。 それは、もうじき夏休みを迎えようかという平日の夜だった。その日は前期試験が午前中で終わったため、例のごとく大学の友人達と麻雀を打っていた。私は仲間内では一応勝ち組だったが、このところ調子を崩していた。元々、貧乏学生なうえに負けがこみ、オケラ街道をばく進する日々だった。 その日もマイナスにへこみ、さらなる節約を覚悟しながら帰路についた。しかし、家に着いて後ろポケットを探ったと同時にハッと青ざめた。財布が