地方医療現場の課題である「医師不足」を解消するため、全国の自治体では「地域枠入学試験」制度を設け、将来郷土で働いてくれる若手医師の育成に力を入れています。6年間で3000万円台にも上る医学部学費を自治体が一手に引き受けるこの制度は、地方の学生が優遇されているように見えます。 しかし、その一方で、最低9年間は地方病院で従事しなければならない、在学期間中の返還・中途退職の場合は高金利で弁済しなければならないという、学生に対する縛り付けの厳しさも課題になっています。 経済的な理由で医学部進学が難しかった受験者にとっては、新たな可能性が拓ける良心的な制度であるとはいえ、賛否両論です。 一般家庭からも医学部進学が容易に 地方における医師不足や診療科の偏在の問題を受け、厚生労働省は「地域枠入学試験」(以下、地域枠)を導入、各自治体・大学に参画を呼びかけました。 地元出身者はもちろんのこと、他地域出身者