いつもとても元気のいいケアマネジャーの中田涼子さん。訪問歯科の依頼はほとんどのケースでファクスが送られてくるところから始まるのですが、中田さんからはまず電話がかかってきます。 「先生、先生、先生」 「おぉ、どうした」 「先生、またお願いしたい人がいるんですよ。先生にしかお願いできない人が」 「またぁ、みんなにそう言ってるでしょ」 「あっ、ばれました」 「いつものことでしょ。どうしたの?」 「実は、嚥下(えんげ)障害って言われて退院した方なんですけど、トロミをつけると全然食べたり飲んだりしてくれないんですよ。本人が好きじゃないみたいで。それで、トロミなしで食べられるかどうか見てほしいんです。病院からはトロミを付けるよう言われているんですけど」 「なかなか難しいね。トロミが嫌いっていう人はいるからね」 吉田節子さん(仮名、91歳)の家の前に着いた時、玄関先で中田さんが待っていました。僕の姿が見