旧名鉄美濃駅をあとにした僕は、ここから長良川鉄道の沿線旅を始める。長良川鉄道はその名の通り長良川に沿って走る鉄道で、美濃太田を出て関からは終点の北濃に至るまで長良川と並んで行く。国鉄時代は越美南線という名で(現在も路線名は長良川鉄道・越美南線)、変わることなく同じ区間を走っていた。越前の「越」と美濃の「美」なので、当然福井を目指していた。福井からも岐阜を目指し越美北線が敷設され、現在もJR西日本の路線として走っているが、結局両者が峠で手をつなぐことはなかった。一本の路線として、晴れて越美線となることはなかった。 いっぽう長良川に沿う道路のほうは、国道156号がある。こちらは美濃太田ではなく岐阜を起点とし、長良川に添い遂げたあとは福井県ではなく富山県を目指す。白川郷から砺波平野を通って高岡に至る国道である。 国道は地域の幹線道路であり、交通量も多く大型車も頻繁に往来するため、幾人かの人から並