私がNHKに就職した1987(昭和62)年、集まった新人職員を前に当時の理事が次のようにあいさつした。 「NHKの今年度の年間予算は3515億円です。三五(さんご)十五。覚えやすいでしょ」 「なんてマヌケなあいさつなんだ」とあきれたことを覚えている。いかにNHKが大規模な組織であるかを強調したかったんだろうが、予算額は毎年変わるのに、今年度だけ覚えやすいからってどうしたっていうんだ? もっとも、実際に30年以上たっても覚えているのだから、あながちマヌケでもなかったのかもしれない。それからバブル全盛期とバブル崩壊を経て、今やNHKの予算は年額約7000億円。私が入った時のほぼ2倍に増えている。 これが「巨額すぎる」と、しばしば批判の的になる。たとえばインターネット上にこんな記述があった。 NHKの異常さが一目で分かる総予算比較 消防 168億円 海保 2253億円 警察 3615億円 NHK