『愛のコリーダ』1936年に実際にあった事件を、2人の性的な関係だけで描ききる芸術作品ですね。 実は去年ネットフリックスでも鑑賞したんですけど、やはり映画館の大画面で見るこの映画は格別です。 大島渚の素人好きは有名で『戦場のメリークリスマス』もそうですが、この映画で阿部定を演じる松田暎子さんは、正直言うと必ずしも演技が上手というわけではありません。特に序盤のあたりはぎこちない演技が気になるんですけど、映画が進むにつれてどんどんきれいになってゆくんですよ。艶っぽく色っぽく。 映画はほとんど性交シーンで作られているんですけど、女性の肉体の美しさと変化を味わうことができる素晴らしい映画です。本当に素晴らしい。 でも、この映画の目的はセックスではありません。2時間近い映画全編を性行為で表現しておいて、最後の最後に大島渚監督自身のナレーションで阿部定がヒーローのように称賛されたことが語られるんです。