山ちゃんの急死 4年前の、2016年8月21日の朝6時─。 気象庁の記録によれば、この日、名古屋の気温はすでに25・2度。昨日までの雨も上がり、蒸し暑い1日となることは確実だった。 自宅2階の寝室で、山本久美さん(当時49歳)が目を覚ました。 夫の山本重雄さんは、スパイシーな手羽のから揚げを看板に、一代で『世界の山ちゃん』全国61店舗網(当時)を築き上げた飲食業界のカリスマ。やり手経営者の常として、4時か5時には起床。誰よりも早く仕事を始めるのが日課だったから、この時間なら、もう出社しているはずだ。前日は、知人が開いた『ゆかたの会』に参加。大勢のゆかた美人に囲まれて、ごきげんなひとときを過ごしたばかりであったという。 久美さんが寝室から1階のリビングへ向かう。目に入ってきたのは、床に横たわる重雄さんの姿だった。 久美さんが言う。 「ふざけて寝たふりをしているんだと思いました。うちの子どもは