1993年のアメリカ映画「ALIVE」、邦題は「生きてこそ」というこの映画は、公開当時良くも悪くも「問題作」として話題に上がっていた。その時は結局観に行かなかったのだが、ずっと気になっていた映画の一つである。実話を元にしたドキュメンタリー小説「生存者」が原作の映画だ。 極限状態が浮き彫りにする人間の光と闇、そして崇高なる精神 1972年のウルグアイ空軍チャーター機がアンデス山脈に衝突した事故で、乗客はステラ・マリス・カレッジのラグビーチームのメンバーとその関係者だ。 有名な話ゆえにネタばれとはならないと思うので書くが、食糧が尽きた彼等は、最終的に先に逝った乗客の人肉を食することで飢えをしのぐ「究極の選択」の物語なのだ。 日本でも戦時中類似した事件=ひかりごけ事件があり、この事件を題材とした武田泰淳の「ひかりごけ」という小説を筆者は読んでいる。それはあくまで当事者への取材は無く現地の噂などを