まえがき上場企業などの成熟した大組織において、「新規事業」の重要性が叫ばれ始めて、もう数年が経つ。米中のテクノロジー企業のマーケットキャップが急激な上昇を続ける一方で、日本企業は平成の30年間でその勢いと存在感を失いつつある。 「このままではいけない!」 こうした経営層の危機感のもと、数年前から「イノベーション推進室」「新規事業企画室」「デジタル事業推進室」といった名称の部門が相次いで立ち上がった。スタートアップイベントや展示会に参加したり、オープンイノベーションを開催してベンチャー企業からの事業提案を募集したり、シリコンバレーや深センに訪問したり... こうした部門は日々、情報収集に明け暮れている。 しかし、これももう限界だろう。当然だが、情報収集ばかりしていても何も生まれない。自らの進むべき方向性や事業仮説を定義しない限り、自社における事業開発はおろか、業務提携やM&Aも十分に機能しな