テーマがまず浮かんだ。米を見に行く、そう決めた。そう考えたのは8月に林道河原小屋三の宿線(前日光基幹林道)へ出かけた日。そこまでのアプローチで走った鹿沼市内の田んぼのなかの道で。まわりの稲穂たちはまさに金色に染まるのを目前にしていた。一部はもうこうべを垂れ始めていたし、若いやつも時間を待たずして実りを付けることを示していた。田んぼが一面黄金色に染まる、それを実感させたからだった。 広大な田んぼに米を見に行こう──それにふさわしい場所を僕は頭のなかで探した。ひとつずつ、その候補として思い浮かぶ場所をスマートフォンでスワイプするように。でももうそれは決まっていた。米を見に行こうと考えて1分もたたないうちにこの道が浮かんでいた。ほかの場所をスワイプする作業なんて、それら場所じゃなくここなのだという裏付け作業に過ぎなかった。 魚沼スカイライン。 先週の週末を飯田線の汽車旅に充てたのは、新潟県の天気