10.『すべてとお別れだ』クマは心の中で呟いた (1) フェアウェル・コンサートを数日後に控えて、センヌキの家での I, S & N の練習は連日夜まで続けられた。しかし今まで吉田拓郎の歌が全てだと信じてきたセンヌキに、クマの高度というよりは、単にマニアックなだけの変則チューニングを使った演奏は、摩訶不思議な世界に過ぎず理解出来る筈も無い。いつまでたっても自分のパートを覚えられずにいる彼にクマは露骨に嫌な顔をしながら、何度も教え込まなければならなかった。 さて、ここで彼等が使っている変則チューニングについて少し触れたい。 基本は以前にも述べたDチューニング = DADF#ADで、特にクマは自作曲にも多用したお気に入りの調弦だ。これはオーソドックス・チューニングのDとも相性が良く、PANで左右に振ってフィンガリングすると絶妙な雰囲気を醸し出す。 星の妖精/風のかたみの日記 同じD系では、DA