深海に沈んだ桜井和寿、壇上に上がった常田大希 - 「売れた」という場所から2人のソングライターが見た景色が、私の中で24年越しに交差した 「売れたい」 人は簡単にそう言う。言うのは簡単だ。最悪、私にだって言うだけなら言える。「売れたい」ほら、言えた。どこで何を売ろうとして言っているのかさっぱり見当もつかないので恥じらいすらない。むしろ謎の爽快感がある。何度でも言おう。「売れたい」「売れたい」「売れたい」こう簡単に言える「売れたい」など本物でもなんでもなく、薄っぺらいまがい物である。しかし、いつの時代においても、たった一度だけ「売れたい」と呟き、己の心に野望という小さな火を灯し、それを大きな炎へと燃え上がらせ人々の目の前に解き放つことができる「本物」が存在する。 「売れる」のは「売れたい」と願う者の中のほんの一握りであり、「売れる」中でも「売れ続ける」という波に乗ることができるのはほんの一握