Schismatrix(1985)Bruce Sterling 金のない学生時代は、安価で、どの書店にも置いてある文庫本を中心に購入していました。様々なジャンルの小説を買いましたが、圧倒的に多かったのがSFでした。 二十歳代半ば頃、実家を離れる際にエンターテインメント小説を大量に破棄しました(※1)。「そうした本は卒業し、もう読むことはない」と生意気にも考えていたのです。 また、現在と比べ、文庫本の価格が安く(※2)、読み終わった雑誌を捨てるような感覚だったことも確かです。 ところが、中年になると、その頃に読んだSFが無性に懐かしく思えてきました。持っていても読み返すことはまずないと思うのですが、不思議なもので手元にないと読みたくて仕方なくなります。 それで一部は買い直したものの、案の定、読み返した小説はごくわずかでした……。 サイバーパンクが日本で流行したのは、僕が大学生のときでした。