・これは逆に心にいろいろ浮かんでくるような場合というのは静かな境地にいるときであり、忙しい余りにいろいろ忘れてしまうとかすっぽ抜けるという境地であれば、相当忙しいんだなということがそのまま言えるでしょう。「忙」とは「心を亡くす」と書きますが、まさにその通りで心を失って余裕がなくなれば勝てるものも勝てなくなる。孫子の言うところの「虚」であり「虚実」というのもこれをそのまま言い表しているということができます。 例えば右からくるぞと誘いをかければ、そちらを防がねばならんと守備側は大忙しとなります。そこで実はこれはウソで左から攻めるぞとやれば守備側は今度はそちらに戻ることとなります。これを繰り返して防壁を破った例がチンギスハーンの戦い方に見られますが、これこそ「虚」というものの真理を衝いているといっていい。その備えていないところを攻め、敵の無防備な状況を攻め立てる。これで敵の心の余裕をなくさせれば