私は、いい人でありたいと思うあまり、 怒りや哀しみを感じても、 笑おうとしてしまうところがあった。 いつも笑っている人が、 いい人なのかと言われると、 何か違う気もするが、 外面は努めてそのようにふるまっていた。 だから、 人あたりがいいと言われたこともある。 誰もが感情のまま行動していたら、 収拾がつかないであろうし、 笑うことは私なりの 処世術であったとは思う。 ただちょっと度が過ぎるというか、 気を張りすぎていた感はあった。 今、一つ屋根の下で暮らす家族の前では、 かなり奔放にさせてもらっているから、 あくまでも、 一歩外へ出たときの話ではあったのだが。 感情をあっけらかんと 表に出せる人を見ると、 うらやましいと思ったりした。 自分も、喜怒哀楽の「怒」と「哀」に もっと素直になっても いいのかもしれないと思った。 そんなことを、 折に触れて考えていたら、 ちょっと前に読んだ本で、