大学時代にたまたま知己を得た先生から直接聞いた話です。 この先生は家系をたどれば河野水軍に行き着き、 祖父の代には子爵だったという家柄のお方でした。 調べればすぐわかるんですが、一応ここではI先生とします。 私がお会いしたときはすでに引退しておられましたが、 現役の時にはベストセラーになったものも含め 何冊も本を出された経済学の大家でいらっしゃいました。 そのI先生がイギリスで講演をなさった時のお話です。 イギリスの空港について入国審査の列に並んでいると、 スーツ姿の男がスッと横に来て、「ロード・I、どうぞこちらへ」と言うんだそうです。 「いや、入国審査をしないと」と答えると 「ええ、しかし貴族の方には専用のゲートがあります」 と言いだすので先生は面食らってしまいました。 「何かの間違いでしょう。私はただの一般市民です」 「いいえ、あなたは子爵です。たとえ日本で