東日本大震災の津波で横倒しになった宮城県女川町の4階建てビルの解体が15日、始まった。震災遺構として保存も検討されたが、壁が崩落する可能性があり、周囲のかさ上げが来年から始まることから、撤去が決まった。 ビルは町の施設「江島(えのしま)共済会館」。1977年ごろに建設され、女川町から南東に14キロ離れた江島の島民の宿泊場所などに使われてきた。震災後、被災地を訪れる人に津波の威力と怖さを伝えてきた。 会館は、大規模な造成工事が進む町の中心部にある。近くの銀行で長男を亡くし、週末にこの場所で高台避難の大切さを訴えてきた田村孝行さん(54)は「消えるのは残念。この建物と共にやってきた」と話した。(加藤裕則)