「机上の空論だ」「空論ではない」-。横浜市の神奈川県からの“独立”をめぐる黒岩祐治知事と林文子市長の応酬で、県と市の関係がにわかに脚光を浴びている。問題となっているのは、市の推進する大都市制度の一つで県との二重行政解消を目指す「特別自治市」構想。経済効果が約5兆円との試算も出され、関心が高まっている。(寺田理恵、黒田悠希) 「県庁に出ていけか」 応酬の発端は、横浜市の外部有識者会議「大都市自治研究会」(座長・辻琢也一橋大教授)が先月29日に林市長に提出した第1次提言書だった。 県から独立した「特別自治市」に移行すれば、産業政策や都市整備など政策展開の自由度が拡大することで、サービス業や製造業、建設業の生産性が向上し市内外で約5兆円の経済効果が期待されるとした。 さらに、二重になっている事務の県から市への移譲で、市に移管される県職員約2000人のうち6割を削減できると指摘している。県全体では