新潟県・佐渡島で放鳥されたトキの繁殖率(産まれた卵のうち巣立った割合)が、今春並みの20%にとどまる場合、国が目指す「60羽以上定着」の達成・維持には、毎年14羽の放鳥を続けねばならないことが、新潟大などの解析でわかった。 通算7回目の放鳥が28日に始まったが、放鳥に頼らない本格的な野生復帰にはまだ遠そうだ。 佐渡島では2008年から計100羽余りを放鳥。今春は自然界で38年ぶりにひなが巣立ったが、産卵した雌16羽のうち、子育てに成功したのは3羽で、繁殖率は推定10〜20%だった。 新潟大の永田尚志准教授と山階鳥類研究所の山岸哲名誉所長は、幼鳥の生存率など条件を様々に変えて、個体数の推移をコンピューターで計算した。その結果、繁殖率が中国(67%)並みの60%以上にならないと、放鳥なしでの安定繁殖はできないことがわかった。繁殖率が20%なら毎年14羽を放鳥し続ける必要がある。現在の放鳥