2011年3月21日;春分 竹村真一(京都造形芸術大学) 東日本大震災の発生から十日余り。まだ余震と原発事故が予断を許さぬ状況とはいえ、重点は災害救助と緊急支援から、数十万の被災者の生活再建、インフラ再建のフェイズへと移行しつつある。 だが、これまでの震災と根本的に異なる点は、それが「復旧」ではあり得ないということ、つまり「もとの旧い体制の再建」ではなく、あらゆる面での社会の根本的なリセット(刷新)、いわば“新しい日本”の再設計が不可欠ということだ。 たとえば、高さ十メートルの防潮堤を整備していたにもかかわらず津波被害を防げなかった沿岸低地に、同じように街を再建すべきだろうか?また大きな災害のたびに寸断される電力網や水道――その修復作業が急務であることは当然としても、そもそもこうした大規模インフラに百パーセント依存した、脆弱な現代社会のあり方そのものを根本から見直すべきではないのか?(こ