世帯の中に隠れた貧困「私が調査を終えてからの十数年で一番大きな変化は、野宿者の数が全体で大幅に減少した一方で、女性の貧困に社会的注目が集まるようになったことです。母子家庭、風俗に流れざるを得ない若年女性や高齢の単身女性の貧困が社会問題になりました」 そんな中で、丸山氏が現在取り組んでいる研究は、男性が世帯主になっているため、顕在化しない家庭内の女性の貧困だ。 「女性野宿者が少ないという現象と背中合わせの問題があります。たとえDVで困っていても非正規雇用、パートや専業主婦だと経済的に自活できないので、家にとどまらざるを得ない。世帯単位で貧困を把握しようとすると、夫の収入があり自宅に住んでいれば、その時点で統計上は貧困とはみなされません。しかし家を出れば、妻は途端に貧困に陥ります」 「日本の場合、約7割の家庭で、財布のひもを握っているのは女性だという調査結果があり、欧州と比べると圧倒的に高いの