女性の生きづらさや出産について語る作家の田中兆子さん=東京都新宿区で2021年12月2日、吉田航太撮影 満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換手術で最長2年間、女性になることを義務づけ、出産を奨励する――。11月に文庫版が発売された小説「徴産制」(新潮社、単行本は2018年)は、新型インフルエンザの流行で10代から20代の女性の85%が消えた2092年の日本を舞台に、人口政策で「産役男」になった男性5人の葛藤を描く。国の利益と国民の幸せは一致するのか、国の政策に女性の視点は本当に反映されているのかなど、重いテーマに鋭く切り込む内容だ。著者の田中兆子さん(57)は今の日本と少子化問題について何を思うのか。話を聞いた。【聞き手・日下部元美】 ――「徴産制」を描いた背景を教えてください。 ◆男性が女性に変身するという話はライトノベルや漫画ではよく扱われるテーマですが、作者はほぼ男