近年、都市研究の分野で注目されるキーワードのひとつに、「縮小都市」というものがある。この概念は、論者によってさまざまなかたちで定義され、必ずしも研究者の間で統一的な理解が形成されているとはいえないが、20世紀において半ば拡大を前提としていた「都市」が「縮小」するという問題意識は、都市を分析する社会科学者や都市計画家だけではなく、人文学者や建築家などの関心を惹き、数多くの学際的な研究が生まれている。 学際的であるがゆえの困難はあるが、従来の研究は、現に生じている縮小都市という問題に、どのように対応するかという関心が中心であった。例えば、Philipp Oswalt氏が中心になって行われた国際的な縮小都市研究のプロジェクト(*1)では、都市の縮小を転換のプロセスとして捉えつつ、複数の都市における縮小への対応を整理して、そこから次の行動への教訓を引き出すことが重視されている。郊外化や産業の空洞化
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