厚生労働省は今秋、あらかじめ決めた時間を働いたとみなす「裁量労働制」の対象業務拡大に向けた検討を改めて始める。今国会で成立した働き方改革法の原案に当初は対象拡大が盛られていたが、同省による調査データの不備で撤回を迫られた。ただ柔軟な働き方を一段と進めるため、早期に議論の仕切り直しを求める声は経済界を中心に強い。同省は統計学の有識者らでつくる検討会を立ち上げ、議論を再始動する。9月にも発足させる
裁量労働制に関する厚生労働省調査に不適切なデータ処理があった問題で、調査に当たった労働基準監督官の男性が二十四日までの共同通信の取材に「一社当たりの調査時間を約一時間半とする内規に従ったが、(私の場合)十分な時間が取れなかった。結果的に調査がずさんになってしまった」と証言した。 この調査を巡っては、これまで不自然な数値が二百件以上見つかっているが、実際に担当した監督官が調査手法の不備を証言するのは初めて。全国約三百二十の労働基準監督署が一万一千五百七十五事業所を調査したが、不十分な調査の一端が浮かび上がった。 問題となっているのは「二〇一三年度労働時間等総合実態調査」。裁量制の拡大など働き方改革関連法案の一部は、この調査を踏まえた政府の審議会の議論を経て作成された。安倍晋三首相は全データの精査を指示しているが、調査全体の信頼性に疑義が生じれば法案そのものの正当性が問われかねない。
裁量労働制の不適切データ問題を巡る論戦が国会で続くなか、安倍政権が目指す制度の拡大に反対するデモが25日、東京・新宿であった。最低賃金の引き上げなどを求めてきた市民団体「エキタス」が主催し、数百人が集まった。参加者はプラカードや横断幕を手に「裁量労働制はいらない」「毎日、毎晩残業させるな」などと声をあげた。 都内のIT企業に勤める高橋智さん(25)は、不適切データを巡る政府の対応に疑問を感じてデモに参加した。「裁量労働制で働く周りの人を見ても、長時間労働になりやすいと感じる。現状をあいまいにしたまま制度を拡大してしまえば、長時間労働や過労死は増えると思う」と話した。 デモには、国会で政権を追及している立憲民主党の長妻昭代表代行も参加。「首相官邸主導、裁量労働制の拡大ありきで議論や調査が行われ、調査やデータのゆがみが出てきた。現実を直視しなければ、政策は失敗する」と力を込めた。 21日の衆院
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