職業を持つとは 何になることなのか なぜ僕が今、音楽の世界で食べているのかと問われれば、ただ偶然が重なった結果だというほかはありません。家族や親族に音楽家はいないし、父は書籍の編集者、母は帽子デザイナーという畑違いの職業です。初めてピアノに触れたのは確かに3歳ではあるけれど、それは入園した園児みながやる情操教育の一環だったからで、音楽を志す子供の英才教育とは別次元のものでした。 子供の頃、僕は将来何かの職業に就くとか、何かになるということが本当に不思議で仕方がありませんでした。大人はそういうことを言わせたがりますよね。目標とか夢とか何でもいいから書いてごらんと。僕にはとても違和感がありました。僕がこのまま僕でいてはいけないのかと心配していたような気がするのです(笑い)。 それでも音楽の周辺にいたのは、指導してくださったピアノの徳山寿子先生が面白い話をしてくださったとか、作曲を習ってみないか