経営再建中の日本航空で、同僚から「グレートキャプテン」と慕われた最古参の機長・小林宏之さん(63)が、人員削減のあおりで引退することが決まり、20日夜、中部国際空港(愛知県常滑市)からホノルルに向け、日本発としては最後の操縦かんを握った。 愛知県新城市出身の小林さんは、ラジオの米極東軍放送(FEN)から流れるハワイアン音楽にあこがれ、「外国に行ってみたい」と東京商船大へ進学。しかし3年の時、日航のパイロットの募集広告を見て、一転、空の世界に飛び込んだ。 以来42年間、一度も欠勤せずに世界中を飛び回り、日航最長の飛行時間1万8530時間を記録。同社で唯一、国際65路線すべてに乗務した。 最も思い出深いのは、1990年の湾岸危機で邦人救出のための特別機運航を一任されたこと。「人質になった商社マンらを乗せて5回の乗務に当たったが、尾翼の鶴丸を見た男性たちが『これで日本に帰れる』と感激していたのが