「技術力には自信があるんだけど、どうもカネ儲けがヘタでねぇ」 メーカー在籍時代、さらには記者として多くのメーカーで経営者や技術者にお話をうかがうたびに、耳にタコができるほど聞いたフレーズである。文字で書けば自嘲、反省の弁ともとれるが、実際に生でうかがうとそうでもない。ほとんどの場合、笑顔で、ときに誇らしげに語られるのである。 私も多少は常識をわきまえた社会人なので、そのような場面に遭遇すれば微妙な笑顔で「そうですかぁ」などとあいまいに受け流す。だが、責任ある立場の人からこのような発言が飛び出すと、かつて技術者であった私はそのたびにイラっとしたものだ。発言は「技術者は頑張っていい技術を開発してくれるけど、会社はその成果を利益に結びつけることができない」ことを白状したもので、誇らしげにそれを言うということは「それに関して責任はぜんぜん感じていない」ということだろう。少なくとも私には、そう聞こえ
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