過去最悪とも言われる不況が世界を覆っている。発端となったのは、昨年9月のアメリカ発の金融危機だった。もし、この分野の研究がさらに進んでいたなら、もしかすると株価をはじめとした世界的な市場価格の大暴落は避けられたかもしれない。経済の世界の価格変動や価格暴落などの現象について、物理学が培った概念や解析手法、シミュレーション技法で、法則性を解き明かそうという「経済物理学」だ。 経済が混迷し、新しい時代が模索される中で今、1997 年に名前がつけられたこの学問が大きな注目を浴びている。そんな経済物理学の、日本の第一人者が高安氏。名古屋大学でフラクタルを中心とする非線形物理学を研究。フラクタルの対象としての経済に興味を抱き、神戸大学、東北大学を経て、1997年からソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャーとして勤務している。 昨年、ノーベル賞受賞者を輩出したことで話題になった名古屋大学です