相原秀起著(2016年) 著者は、北海道新聞記者。かつての日本領で戦争の痕跡などを訪ね歩く記録である。 北千島(ウルップ以北、シュムシュ島までの島々)は、大小の湖沼群、無数の高山植物に恵まれ、日本領だったら国立公園間違いなしという「この世の天国」らしい。300mくらいで森林限界という寒冷地だ。 シュムシュ島方面にはカムチャッカ半島からヘリかフェリーで行く。国境地帯のため国境警備隊の許可が必要である。終戦後の1945年8月17日深夜、シュムシュ島にソ連軍が上陸し、翌18日、四嶺山での日本軍との激戦で、両軍の戦死者は3千名を超えた。22日、停戦文書に調印後、ソ連は、南千島占領作戦に転換し、28日に択捉島に上陸した。今でもシュムシュ島には戦闘機の残骸やトーチカ、飛行場の跡などが残っている。 著者は、シュムシュ島での戦闘のあとを見るべく、兄弟分の通訳ジェーニャの協力のもと、上陸を目指すがなかなか許