「ご覧ください、全日本国民が熱狂をもって中華人民共和国首相を迎えています」 テレビのアナウンサーが、力強い声でそう話している。 映像は、東京の街に降り立つ中国の首相、そして笑顔で紅い旗を振る日本人たち。 日本が傾中政策をとって20年、中国以外のあらゆる国を敵にまわしながら、それでも急激な経済成長を遂げた中国に守られ、日本は生き延びて来た。中国に生産拠点を移した日本の製造業は、その多くがいつの間にか中国資本となり、中国人経営者たちによって再び活力を取り戻していた。 日本政府は高騰していた日本の人件費を削ることもできず、また積み重なっていた国債の返済のために、大量の円を刷った。結果、インフレーションが発生し、円の価値は急激に下落。市場に出されるようになった人民元が急騰したのもあいまって、中国企業たちはこぞって日本への直接投資を開始した。日本を代表する大企業が次々に買収されていった。80年代バブ