科学季評 京都大学総長・山極寿一さん 細菌の働きを利用して人の体や心を治療する。そんな時代がやってくるかもしれない。 私たちの調査チームは4年前、アフリカ・ガボンのゴリラに新種のビフィズス菌を発見した。ビフィズス菌は腸内細菌の一つで、今までさまざまな動物に50種ほど見つかり、人間は10種類と最多のビフィズス菌を持つ。新種の菌の生理活性はまだ明らかでないが、ビフィズス菌は糖を分解して吸収しやすくし、他の菌による腐敗を防ぐ働きをする。腸内細菌の中でも量が多く、長寿をもたらす効果があると考えられている。 近年、立て続けに人と細菌の共生に関する本が出版された。今や細菌ブーム到来と言ってもいい。 食中毒を引き起こすサルモネラ菌をはじめとして、数々の感染症を引き起こす細菌は、根絶すべき対象と考えられてきた。衛生意識と予防医療は、細菌との闘いによって作られてきたといっても過言ではない。しかし、細菌の中に
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