頂点に立った者が迎える死 『平家物語』は、僧侶としての人生を歩むきっかけになった本です。 出会いは小学生の頃。父が子ども向けのバージョンを買ってきたんです。当時、特に印象的だったのは平清盛の転落でした。栄華の絶頂を極めた清盛ですが、権力に陰りが見え始めて、最後は高熱を出して熱い熱いと言いながら死んでいく。 そこから、頂点に立った人間の悲惨な死が好きなんだと気づきました。伝記などを読む際にも、どういう死に方をしたかをまずチェックするようになったのです。 人がどんな人生を歩むことになるのかは、誰にも分かりません。幸福な人間がいきなり不幸に突き落とされることもあるし、逆もまた然りです。「なぜ悲惨な死を遂げるのか」と考えても、それは結局、答えの出ない問いに留まるのです。 それは「諸行無常」というブッダの言葉にも繋がってきます。実はこの言葉は、私を救った言葉でした。 幼い頃、重い喘息を患っており、ひ