将棋界には、かつて伝説の研究会が存在した。若き日の羽生善治、佐藤康光、森内俊之が研鑽を積んだ、いわば「羽生世代」の原点とも言える場所。それが通称「島研」である。主宰者は島朗(しま・あきら)九段。初代竜王、タイトル戦登場6回、順位戦A級通算9期という輝かしい経歴のトップ棋士であると同時に、のちに旋風を巻き起こした羽生世代の才能をいち早く見抜いた慧眼の持ち主でもある。 その島九段の眼には、「戦国時代」と呼ばれる現在の将棋界はどう映っているのか。 ここまで長期にわたり君臨し続けるとは ―― 現在、ちょうど第31期竜王戦の番勝負が行われています。羽生善治さんが初タイトルを取られたのは、島さんとの第2期竜王戦でしたが、これが平成元年(1989年)のこと。平成が終わろうとしているこのタイミングでも羽生さんが竜王位保持者で、かつタイトル100期目に向けた勝負の真っ最中です。 島 ストーリーとしても完璧で